COLUMN

医院経営にまつわるコラムを定期的に配信しています。

開業・融資

【失敗しない】クリニック開業コンサルタントの選び方とポイント

税理士法人G.C FACTORY.

クリニックを開業する際に、まず、はじめに決めるべきことが、『誰(どの会社)に開業の支援を依頼するか』かと思います。

この最初の決定で最善の判断ができなかった場合、開業を失敗する(クリニックの経営戦略や投資判断を誤る等)可能性が高まってしまいます。

(※手順を踏めば、何とか開業はできますが、余計に費用が発生することになったり、開業時のスタートダッシュが切れずに数か月分の運転資金(数百万円)を無駄に使用してしまうことになります)。

よって、本日は、開業コンサルタント(税理士)として、過去に200件以上支援している専門のコンサルタントの立場として、開業支援を依頼する会社を決めるポイント(開業コンサルの選び方)について解説いたします(一部主観もはいっておりますので、ご容赦ください)。

1.開業コンサルタントの種類(パターン)

まずは、開業コンサルタントとして支援を行っている会社のパターン(開業コンサルタントを名乗っている会社)が4種類に分かれるので、それぞれの特徴を解説します。

(1)経営コンサルタント系の開業コンサルタント

【概要】

経営コンサルタント会社が行う開業コンサルティングは、一般的には、数百万円(約150~500万円程)のコンサルティング報酬を支払い、開業に関する一式について手厚くサポートを行います。

【メリット】
  • 報酬はかかるが、手厚くサポートを行っていただけるため、勤務医として時間がない場合も代理であらゆる業務をサポートいただけることが多い。
  • 実績があり、専門性の高いコンサルタントの場合は、経営戦略・経営判断等についても過去の実績や定量的なデータをもとに的確にアドバイスをいただける。
【デメリット】
  • コンサルタントや会社によって、コンサルティングサービスのレベルがかなり違うので、経験不足や専門レベルが低いコンサルタントが担当になる可能性がある。
  • 報酬も他のパターンと比較して高額になるケースが多い。

(2)医薬品医療機器の卸業者系の開業コンサルタント

【概要】

医薬品や医療機器の卸業者(ディーラーやメーカー)が行う開業コンサルティングは、医薬品や医療機器の購入について、その業者を通じて購入することを前提に開業に関する業務をお手伝いいただく形態となります。

【メリット】
  • 医療機器等の卸業者は、大手の会社が多く、近隣の医療機関とも取引があるため、近隣の競合情報や医師会の情報等地域情報のアドバイスをいただける。
  • 無償で幅広くサポートしていただける。
  • 経験が多いコンサルタントも多く、滞りなく開業までの膨大なタスク管理等をしていただける。
【デメリット】
  • 医療機器等の購入先が限定されるため、メーカーから直接購入や価格の比較のためのコンペ等はできないため、投資額は高くなる可能性がある。
  • 専門的なコンサルティング(経営戦略、マーケティング等)までは行わないケースが多い

(3)薬局(医療モール)系の開業コンサルタント

【概要】

薬局(医療モール系)が行う開業コンサルティングは、医療モールを経営している薬局系列の会社がその医療モールに入るクリニックに対して開業コンサルティングを行う形態となります。

【メリット】
  • クリニックの盛業が薬局の盛業に直結するため、広報関係(内覧会、開業時のポスティング等)について、積極的にサポートを行っていただける。
  • 無償(もしくは低い金額)で幅広くサポートを行っていただける。
  • 薬局系の物件は、市場調査等をしっかり行っているケースも多く、良い物件が多い。
【デメリット】
  • 薬局の系列の物件でなければ、そもそもコンサルティングを依頼できないので、物件が限定される。
  • 専門的なコンサルティング(経営戦略、投資判断の助言等)までは行わないケースが多い。

(4)税理士等士業系の開業コンサルタント

【概要】

税理士等が行う開業コンサルティングは、開業後に税理士の顧問契約を行うことを前提として、税理士等が事業計画や融資の支援等を行います。

【メリット】
  • 税理士はお金の専門家であるため、事業計画や融資、開業後の節税対策については強い。
  • 開業後も顧問として支援が継続するので、開業後のことも考えて、責任をもってアドバイスをしていただける。
【デメリット】
  • 事業計画、融資等(会社によっては採用まで)は支援してくれるが、それ以外のところ(機器の選定、内装のアドバイス、内覧会の立ち合い等)については、サポート外のところが多いので、医薬品卸業者や薬局等にも依頼する必要がある。

2.失敗しない開業コンサルタントの選び方

(1)複数社から選ぶ

・開業コンサルタントは事業を成功するために重要なパートナーですので、パートナーを選ぶ際は、最低でも2社以上(できれば3社ほど)と面談をし、比較検討のうえ選ぶべきです。

当たり前のようですが、開業について初めてのことをいろいろと知っている開業コンサルタントは頼もしく映りますので、初見で開業コンサルタントを決めてしまうドクターも多数いらっしゃいます。

開業コンサルタントのレベルは会社・担当者によってかなり異なりますので、比較検討の上、慎重に選ぶことをお勧めします。また、私の個人的なお勧めは上記のコンサルタントの併用です。

一般的には、メインの開業コンサルタントが進捗管理やアドバイスを行い、必要なタイミング(医薬品卸や税理士等は開業の1~2か月前等に紹介されることが多い)で他の業種の方を紹介していきます。

よって、例えば、薬局系開業コンサルタントや経営コンサルタントが開業支援している場合、医薬品卸や税理士との面談は開業直前になってしまいます(卸や税理士は、開業後に取引をする場合は開業コンサルティング業務もしていただけるにもかかわらず)。

しかし、開業コンサルティングの早めの段階(開業6か月前等)で、医薬品等卸業者や税理士とも面談をしておくことで、各業者からセカンドオピニオン的に意見を聞くことも可能になります。

各コンサルタントは、得意分野も分かれていますので、併用することでより良い助言を採用することができます。

併用してそれぞれの意見を聞く中で、納得性が高く、詳細なアドバイスをしてくれる方をメインの開業コンサルタントとして依頼し、他の方をフォローしていただく位置づけで行うことで、正しい選択を行うことができ、成功確率が上がります。

(2)開業コンサルタントを選ぶ時のポイント

複数社の開業コンサルタントと面談時は、どの会社も開業に関しての知識は豊富なため、比較が難しい場合もあります。その場合、下記の点を考慮することをお勧めします。

①過去に開業コンサルティングをしたクリニックが流行っているか

実際に開業コンサルティングをした先が流行っているかは最もわかりやすい判断材料になります。

そこで、過去数年に同じ診療科で開業したクリニックの直近の実績(売上、利益)、開業先の平均売上等を確認することをお勧めします。

これにより、ただ開業をするだけのコンサルティングをする会社なのかその後の盛業まで支援する会社かがわかります。

ポイントはうまくいっているクリニックの情報だけではなく悪いところまで含め、その平均値・中央値等を確認することです。

この際に、売上や利益の数値がパッと出てこない場合は、そもそも開業後の業績を把握していない可能性があり、開業だけ支援してその後はあまりフォロー等をしていない可能性がありますので注意が必要です。

また、会社の開業支援先の獲得ルートも大切です。良い仕事をしていれば、開業支援をしたドクター等から後輩や知人等の紹介をしていただくことも多くなります。

よって、実際の開業した先生等の紹介で実績を増やしているところは信頼できます(目安としては、8割以上は紹介で増加)。

一方で、マーケティング(SEO等)をメインとして、獲得している場合は、気を付けたほうが良いケースがあります。

②開業コンサルティング実績数とコンサルティングのレベルの確認

開業に関する情報は、日々変動します。

(例えば、融資であれば、タイミングによって各金融機関の金利条件や貸出に対する姿勢が異なります。また、採用や集患のノウハウについては、常に変化し続けています)

よって、ある程度、直近で多数(年間20件程度以上)の開業の実績があるところの方が安心はできます。

一方で、実績はあるが、過去のやり方に縛られて新たなノウハウ等をアップデートしていない場合もありますので注意が必要です。

そこで、開業コンサルタントを選ぶ際は、複数の会社に対して具体的な質問(答えがない質問の方が回答レベルに差が出るのでお勧め)をしてみて、その回答で判断することをお勧めします。

具体的には、「看護師(歯科衛生士)等の採用について、どのような方法であれば採用できますか?」「集患で良い方法はありますか?」等の質問は会社によってノウハウが異なりますし、開業後に困ることが多い事項なので質問して、その回答を聞くのは良いと思います。

ここで、どこまで根拠や実績に基づいた具体的な回答ができるかで判断することで、コンサルタントのレベルがある程度判断できるかと思います。

③コンサルティング費用の投資対効果の確認

開業時は、なるべく安く開業しようと考えられるドクターもいますが、開業時に安くすることを優先し過ぎて、パートナー選びや投資判断(物件選び等)を間違うと、開業後に数千万円~数億円単位で機会損失をしている場合もあります。

例えば、ドクターの力量が高いのに、安さで物件を選び、患者さんが来ず(マーケティングをしても集患が難しい場所等)固定費は少ないけれども利益も少ないというクリニックになってしまう場合もあります。

クリニックの事業モデルをしっかりと理解せずに、なんとなくの経営判断をしてしまうと失敗してしまう可能性もあるので、しっかりとした判断軸を教えてくれるコンサルタントをパートナーに選ぶことをお勧めします。

また、コンサルティング費用が高くても事業の成功に必要なコンサルティングであれば、将来的な収益は数千万円~数億円単位で異なるので、投資対効果としては良い場合もありますので、長期的な投資対効果を判断して決定していくと良いかと思います。

 

開業後に事業を失敗しないために、開業コンサルタント選びはとても重要です。

G.C FACTORYは、診療所の開業コンサルティングからその後の税務顧問まで一貫して責任をもって支援を行っておりますので、是非、ご興味のある方は、当社の無料相談も一度ご活用いただければ幸いです。


筆者:山口 和真(税理士法人G.C FACTORY 代表社員税理士)

略歴

  • 九州大学 理学部卒業
  • 日本経営ウィル税理士法人を経て現職

実績・経験

  • 医科、歯科の開業支援件数を200件以上担当
  • 事業計画作成、融資、マーケティング、スタッフ採用、雇用契約、医療法人顧問、法人成り等の支援を経験
  • 医療コンサル国内最大手の日本経営グループにて、病院の経営顧問、会計・税務顧問、病院・介護事業所の事業再生業務、病院のM&A業務、医療法人の事業承継業務等に従事。
  • 2019年8月にC FACTORY会計事務所創業、創業5年間で約150件の開業支援を行う。

同じカテゴリーの記事

同じカテゴリーの記事はありません。

お問い合わせ

医院経営にまつわるお困りごとは
税理士法人G.C FACTORYへ。
まずはお気軽にお問い合わせください。

お電話をいただいた場合は、担当部署を確認し、後ほど折り返しいたします。