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認定医療法人制度

認定医療法人制度のデメリット(落とし穴)

認定医療法人制度支援サービス

医療法人の事業承継で、活用されている認定医療法人制度のデメリットについて、認定医療法人制度活用を断念した事例を踏まえ、解説をいたします。

 

認定医療法人制度は、出資持分あり医療法人が出資持分なし医療法人に移行する際に、一定の要件を満たした場合は、医療法人に課税される贈与税が免除される制度です。

 

私たちのように、医療法人の事業承継を専門にやってきた者の間では、今までの承継対策のスキームを根底から覆す画期的な制度となっています。
事実、弊社が認定医療法人制度を活用した支援している医療法人様では、数千万円~数億円単位で、節税メリットがでています。もし、出資持分あり医療法人で、純資産価額が1億円を超えるような場合は、令和5年9月30日までですので、一度ご検討ください。

 

さて、今回は、その画期的な制度である認定医療法人制度のデメリット(落とし穴)について解説します。

 

特に注意しておきたい、デメリットについては、下記の2点です。

 

1.「法人関係者に利益供与しない」という要件を6年間維持する必要があること。
2.役員報酬の上限額が設定されること

 

1.「法人関係者に利益供与しない」という要件の6年間維持が必要であること。について解説します。
「法人関係者に利益供与しない」という要件がある背景としては、医療法人制度は医療法で配当が禁止されているため、役員の関連法人などに、医療法人から利益を流し、実質的に配当と同じようなことをしないように規制するための要件です。
「法人関係者に利益供与しない」という概念ですが、すごく漠然としているので、具体的にどのような場合が該当するかについて、説明します。

 

例えば、
(1)医療法人で、役員専用車両がある場合に、役員が病院から帰るときに、買い物をしたり、個人的に使用していることがある場合は、利益供与に該当します。
よって、認定医療法人制度を活用する場合は、①個人的な利用を完全になくす②車両の走行記録をつけ、個人利用がある場合は、使用料を医療法人に支払う等の対策が必要になります。実務上は記録を付けることが大変だったり、明確に個人利用ゼロにすることができない可能性があることが多いので、認定医療法人の移行計画の申請までに、適正額で役員が買い取ることが多いです。なお、役員車両が数台あり、買い取り金額が高額となることが原因で認定医療法人制度の活用を断念するケースもありました。

 

(2)医療法人がMS法人から不動産を賃借している場合に、賃料が近隣相場よりも高い場合は、利益供与に該当します。
不動産に限らず、役員の親族が経営している法人との取引はすべて確認、是正する必要があります。
留意しておきたいこととしては、税務調査等で税務的に認められた金額であっても、認定医療法人制度上は認められないことが多々あるということです。近隣相場等を算定し、取引金額の是正が必要な場合に、それによって、MS法人の資金繰りが厳しくなるケースもあります。

 

次に、
2.役員報酬の上限額が設定されること というデメリットについて解説します。
そもそも、認定医療法人制度の活用を検討している医療法人様は、純資産が多く、経営的に順調な法人様が多いです。よって、役員報酬が高いところも非常に多く、役員報酬が制限されることにより、現在使用できるお金が減ってしまうというデメリットがあります。
認定医療法人制度で認められる、具体的は役員報酬の金額としては、一般的には、年間3,600万円までです。別途医師としての勤務がある場合等に、役員報酬とは別に医師給与を支給する場合で5,000万円以内であれば、認められるケースもございますが、最大役員報酬+医師給与で5,000万円というのが実務的に可能なラインとなっていることが多いです(役員報酬規程、医師給与規定等の整備は必要)。

 

認定医療法人制度については、申請時のみではなく、要件を6年間維持する必要がありますので、各法人様ごとに、個別でメリットデメリットを考慮し、慎重に検討ください。
税理士法人G.C FACTORYでは、専門税理士による無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。
税理士法人G.C FACTORY 認定医療法人専用サイト(https://tax.gcf.co.jp/nintei/

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