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医院経営にまつわるコラムを定期的に配信しています。
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内部統制とは、組織が事業活動を健全かつ効率的に運営するための仕組みを指します。内部統制を整備することで、例えば以下のような効果が期待されます。
内部統制を導入することで、業務プロセスの標準化と効率化が進みます。これにより、業務の無駄を減らし、リソースを最適化することができます。
内部統制は、法令や規則を遵守するための仕組み、不正を防止するための仕組みを整える役割も果たします。これにより、コンプライアンスリスクや、不祥事が発覚し医院の評判に傷が付くリスクを低減することができます。
内部統制は、特に上場企業を中心とした営利企業では広く浸透している概念です。しかし、医療機関においては、この概念が十分に普及していないのが現状です。また、営利企業における内部統制のベストプラクティスについては、インターネットや書籍で数多く紹介されていますが、医療機関では医療行為や医薬品の取り扱い、医療保険制度などに起因する業務の特殊性と複雑性があるため、十分なナレッジが蓄積されていないのが実情です。
本稿では、筆者が医療機関の監査などを通じて得た経験を基に、医療機関の内部統制におけるポイントについてお伝えしたいと思います。
医療機関の主な収益源である診療報酬は、その請求プロセスが複雑であり、ミスや不正が発生しやすい領域です。診療報酬の算定誤りや請求漏れは、医療機関の収益に重要な影響を与えるだけでなく、保険者からの査定や返戻により、診療報酬の回収が遅れ、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
適正な診療報酬請求のため、例えば以下のような内部統制を整備することが考えられます。
診療報酬請求システムにレセプトチェック機能を導入し、算定ルールに基づいた自動チェックを行うことで、人為的なミスを削減します。システム導入時には、最新の診療報酬改定情報を反映させ、随時アップデートしていくことが重要です。
レセプト作成担当者と別の担当者によるダブルチェック体制を構築し、請求内容の相互牽制を行います。医事部門と調達部門・薬剤部門が連携し、償還材料の消費量、医薬品の消費量や在宅酸素の請求額等と請求内容の整合性を確認することも有効です。
返戻や査定、未請求の状況を、点数・件数・理由毎に取りまとめて分析し、直近で返戻や査定、未請求が多く発生している診療科等があれば、診療報酬委員会等の委員会で報告します。診療報酬請求プロセスにおいては、医師の協力が不可欠であり、院長含め診療部が出席する会議体においてこれらの情報を報告することで、医師の協力を仰ぎます。
保険請求業務については、外部の医事委託業者へ委託しているケースも見受けられます。上記の返戻や査定、未請求の状況については、医事委託業者とも連携し、例えば初歩的なミス(保険証番号誤り)等での返戻が多く発生している場合は、改善を促す等の対応が重要です。
患者受付・会計業務は、患者様と医療機関の最初の接点であり、スムーズかつ丁寧な対応が求められます。現金の取り扱いが多く、ミスや不正が発生しやすい領域でもあります。また、近年ではキャッシュレス決済の普及やオンライン診療の導入など、受付・会計を取り巻く業務の変化もあります。
患者情報登録時、会計時、現金受領時など、重要なポイントで複数担当者によるチェック体制を構築し、ミスや不正を防止します。チェックリストやチェックシートを活用することも有効です。
会計担当者および計算担当者を分離し、相互牽制を図ります。また、実際に窓口において現金を取り扱う担当者および、現金の管理を担う管理者を具体的に任命し、不正リスクを軽減します。
自動受付精算機を導入し、受付や会計業務の効率化を図ることで、患者様の待ち時間短縮、窓口業務効率化、ミス削減に繋がります。クレジットカードやバーコード決済など、多様なキャッシュレス決済手段を導入することで、患者様の利便性向上、未収金削減、現金管理リスク低減に繋がります。
患者様からの請求・支払いにおける内部統制の強化が挙げられます。医療機関では、保険診療と自由診療が混在するため、未収金が発生しやすい環境にあります。これに対して、以下の対策が有効です。なお、これらの内部統制の実施のためには、機関設計にもよりますが、受付担当、医事担当、財務担当が協力することが重要です。
債権管理システムを導入し、未収金の残高や回収状況をリアルタイムで把握できる仕組みを整えることが重要です。また、定期的に債権の年齢分析を行い、期日から一定の期間を経過した債権については、督促状を発送する、弁護士へ委託する等の対応を行い、未収金の回収漏れを防止する仕組みを構築します。
特に高額な診療においては、事前にデポジット(保証金)を設定することで、万が一の未収リスクに備えることができます。こうした仕組みを取り入れることで、キャッシュフローの安定化を図るとともに、医療機関の財務健全性の向上が期待されます。
昨今の人手不足の状況下では、日々の業務に加えて内部統制を実施することが困難な場合もあると思います。そのような場合でも、いきなり完璧を目指すのではなく、金額的に重要な取引に絞って検証を行ったり、数か月に一度の頻度で検証を実施したりするなど、リスクに応じた段階的な導入を検討することが大切です。こうした取り組みが、医療機関の健全な運営の一助となることを願っています。
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筆者:澤田 将太(さわだ しょうた)
税理士法人G.C FACTORY
監査部 公認会計士
経歴:
公認会計士試験合格後、世界Big4のEYメンバーファームであるEY新日本監査法人にて、医療機関、上場企業、金融機関、IPOなどの幅広い会計監査業務や内部統制監査を担当。独立行政法人、医療法人、社会福祉法人、公益法人など様々な設立主体の医療機関の会計監査を経験。2024年7月にG.C FACTORYへ入社後現在に至る。
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