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法定監査業務

クラウド会計導入のメリットと流れ

会計監査人 仕訳 決算 二重責任の原則 財務諸表

 

I.はじめに

クラウド会計とはインターネット上で利用できる会計ソフトです。電子カルテのようにクラウド会計は医療機関にとって様々なメリットがあるものなので、最近導入する医療機関が増えてきています。

 

本コラムにおいてはクラウド会計ってよく聞くけど、導入することでどんなメリットがあるの?導入って大変じゃないの?とお考えの方を対象として、導入することのメリット及びその導入に当たっての流れをご説明します。

 

II.クラウド会計を利用するメリット

クラウド会計を利用することには以下のメリットがあります。

 

1. 記帳の手間を大幅に削減できる

クラウド会計の機能に、銀行口座やクレジットカード等の取引明細を自動連携する機能があります。これらを連携取り込みすることで、AI学習により毎月の取引に対する勘定科目や摘要欄が自動割り当てされるので、仕訳入力の時間が短縮できます。

 

2. 場所・端末を選ばずに利用ができる

クラウド会計はPCがあればどこでもログインが可能です。在宅ワークが可能となるため、育児中の従業員様などライフスタイルに合わせた働き方ができるので、従業員様の満足度向上につながります。

 

3. 税制改正等に合わせたアップデートが常に行われる

通常の会計ソフトの場合、税制改正に合わせてアップデートが必要になり、そのメンテナンスにコストが掛かります。クラウド会計の場合、最新の税制改正に合わせてアップデートが行われるため、最新ソフトのインストールや購入といった手間やコストをかけることなく常に最新のソフトが利用できます。例えば、インボイス制度の場合、業者ごとの「適格請求者登録番号」ができるので、仕訳入力時に自動でインボイスの適格判定が行われます。

 

4. 本部での一括管理ができる

クラウド会計の場合、どこでも閲覧可能なので、例えば複数院を展開している医療機関様でも、本部でそれぞれの医療機関様の財務状況等をチェックすることができます。また預金についても通帳連携によって日々の取引確認・残高確認が可能なので、不正防止の面、資金繰りの面からメリットがあります。

 

5. 効果的・効率的な監査が可能となる

クラウド会計によって、監査をする側もどこでも会計データを閲覧及び抽出が可能となるため、常時監査が可能という部分でより効果的かつ効率的な監査が可能となります。例えばG.CFACTORYネットワークの公認会計士事務所による会計監査の場合、会計データ抽出・閲覧・監査対象とする取引のサンプリング等を全て遠隔で、従業員様のお手間をかけずに実施するので、監査対応に慣れていない従業員様がいらっしゃる場合でも、安心して会計監査を受けることが可能です。

クラウド会計を使用して、効率的に監査を行っている図

 

 

III.クラウド会計導入について

クラウド会計を導入する場合、導入時の設定が難しいのではないか、導入したとしても従業員が使いこなせないのではないか、とお考えの法人様も多いと思います。G.C FACTORYグループでは、税務顧問変更のタイミングや開業支援のタイミングでクラウド会計の導入支援をしており、導入支援をした法人様、先生、及び従業員様にもご好評頂いておりますので、導入支援の流れをご説明します。

※弊グループにおいては、マネーフォワード会計を使用。

 

1. 現在使用している会計ソフト及びその入力に当たって使用している資料の確認

従業員様にとって、クラウド会計を導入することによって現在使用している会計ソフトでの入力方法と大きく変化があると、心理的負担が大きくなってしまう傾向があります。そのため、まずは現状どのように入力されているか、現在作成されている会計ソフト入力に当たっての管理表などを確認し、従業員様にとって受け入れていただきやすい導入の流れを検討します。

 

2. クラウド会計へ半自動的に取り込み出来る会計資料及び仕訳辞書の作成

上記で確認した管理表が税務上・会計上問題ないものであれば、管理表を今まで通り作成いただくことによって、クラウド会計への取り込み資料を半自動的に作成するように設計します。一方、従業員様がお困りの管理資料などがあれば、管理表の改善当社が使用しているクラウド会計に半自動的に取り込むことができるテンプレートとなる管理表を導入させていただき、従業員様への使用方法の説明会等実施させていただいております。また、従来振替伝票起票をしている等であれば、毎月振替伝票を入力するための仕訳辞書を作成します。仕訳辞書によって、金額や摘要欄の微調整等のみで会計起票が可能となるため、効率的な記帳が可能となります。

 

3. 適時のフォロー

クラウド会計連携用の管理資料については、クラウド保存を行っていただくため、当社において常時閲覧が可能であり、不明点等があればいつでもWeb会議や電話にてフォローが可能です。作成の仕方に誤りがあった際にも、適宜従業員様へのフォローを行っています。

クラウド会計、監査、DX化によって適時フォローが可能な図

 

Ⅳ.おわりに

クラウド会計を導入することによって、より効率的で効果的な内部統制を構築することができます。また、当社では医療特有の会計処理等に合わせた管理資料の提供等しているため、従業員様の負担をなるべく軽減した形で導入できます。

また、G.CFACTORYネットワークの公認会計事務所による監査では、クラウド会計を活用した監査を行っています。クラウド会計導入を通じて常時監査が可能となるため、本部と適宜連携を行いながら、リスクに重点を置いた監査を行うことで、可能な限りコストを削減した監査を実施しています。

 

医療機関様によって適切なクラウド会計導入の仕方・クラウド会計を通じた監査の仕方は異なりますので、お気軽にご相談ください。

 

ご相談はこちらから

 

会計顧問のサービス案内はこちら➩https://tax.gcf.co.jp/service/accounting-tax-advisor/

法定監査のサービス案内はこちら➩https://tax.gcf.co.jp/service/statutory-audit/

 

横田 圭吾 G.C FACTORY 会計士 準会員
 


 

筆者:横田 圭吾(よこた けいご)

税理士法人G.C FACTORY

コンサルティング事業部 主任

経歴:

公認会計士試験合格後、世界Big4のEYメンバーファームであるEY新日本監査法人にて、医療機関、上場企業、金融機関、IPOなどの幅広い会計監査業務や内部統制監査を担当。独立行政法人、医療法人、社会福祉法人、公益法人など様々な設立主体の医療機関の会計監査を経験。2022年8月にG.C FACTORYへ入社後現在に至る。

実績・経験:

・医療機関の財務デューデリジェンス業務を責任者として年間約30件担当(病院約10件、診療所約20件、その他医療関係事業会社等)

・医療機関承継において必要となる、事業計画作成、融資支援、クラウド会計導入支援等、複数の支援を担当。

・医療機関への公認会計士・監査法人監査の対応コンサルや内部統制コンサル等の支援を担当。

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